1970年代を象徴するスタイルのひとつが「ヒッピーファッション」です。
カラフルで自由な服装は、単なる流行ではなく、「戦争反対」「愛と平和」「自然回帰」といった価値観を体現したカウンターカルチャー(対抗文化)の一部でした。ウィキペディア+1
この記事では、
- ヒッピーとは何か(背景・価値観・文化)
- ヒッピーファッションの特徴
- 代表アイテム3選(ポリシャツ/ベルボトム/Tシャツ)
- 現代の古着コーデに取り入れるコツ
- 古着屋での選び方ポイント
まで整理し、古着好き目線でわかりやすく解説します。
ヒッピーとは何か?ファッションの前提になる「価値観」
1960〜70年代に生まれたカウンターカルチャー
「ヒッピー」は、1960〜70年代にアメリカを中心に広がったカウンターカルチャー運動の担い手です。Encyclopedia Britannica+1
- ベトナム戦争などへの反戦運動
- 大量消費社会・企業社会への疑問
- 既存の道徳や規範への抵抗
といった社会的背景の中で、
「Love & Peace(愛と平和)」
「Make Love, Not War(戦争ではなく愛を)」
などのメッセージを掲げ、従来の価値観とは異なる生き方を模索した人々です。
核心となる価値観
ヒッピー文化を支えた価値観は、おおまかに以下のように整理できます。
- 自然との共生:自然素材の服、素足、アウトドアフェス文化
- 愛と平和:ピースマークやフラワーモチーフ、反戦スローガンMedium+1
- 自由な自己表現:性別・年齢・体型に縛られない服装
- 反消費主義:古着・手作り・リメイクを好む
- 多文化主義:インド・アフリカ・中東など各地の民族衣装や柄をミックス
この「価値観」がまずあり、そのアウトプットとして「ヒッピーファッション」が生まれた、という順番です。
ヒッピーファッションの特徴
1. 色彩:タイダイ・サイケデリック・花柄
ヒッピーファッションは「色」がわかりやすい特徴です。
- タイダイ(Tie-dye)柄Tシャツ・シャツウィキペディア+1
- サイケデリックな抽象柄・渦巻き・幾何学柄
- 花柄(Flower Power)やペイズリー柄
- 原色〜ビビッドカラーとアースカラーの組み合わせ
当時の若者は、目立つ色や柄をあえて選ぶことで、「同じスーツを着て働く大人たち」との違いを打ち出していました。
2. シルエット:ゆったり&フレア
- ベルボトムやフレアジーンズ
- マキシ丈スカート・ワンピース
- ゆったりしたチュニック・カフタン
- ポンチョやケープ
いずれも、体を締め付けない「リラックス感」と「動きの出るライン」がポイントです。ヴィンテージダンサー+1
3. 素材:自然素材+ポリエステル
- コットン・リネン・ウールなどの自然素材
- スエードやレザー(フリンジジャケット、ベストなど)
- 洗濯しやすく、プリントが映えるポリエステル
1970年代になると、ポリエステルのシャツやレジャースーツなど「化繊 × 派手柄」のアイテムが一気に普及しました。Fashion History Timeline+1
4. シンボル・メッセージ性の強いデザイン
- ピースマーク(☮)
- 反戦メッセージ入りTシャツ
- 民族模様・スピリチュアルなモチーフ(太陽/月/マンダラなど)
服そのものが「メッセージボード」として機能し、政治的・社会的な主張をストレートに表現していました。は、単なるファッションの流行に留まらず、当時の社会や文化に対する深い問いかけを含む重要な運動でした。
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主要な3つのヒッピーファッションアイテム
ここからは、古着屋でよく目にする代表的な3アイテムを軸に解説します。
1. ポリシャツ(ポリエステルシャツ)
70年代を象徴する「派手シャツ」
ポリエステル素材のシャツは、70年代を象徴するアイテムです。
- 発色の良いプリント(幾何学柄・花柄・サイケ柄など)
- 大きな襟(ダガーカラー)
- テロっとした独特の落ち感
- 乾きやすく、シワになりにくい実用性
大量生産が可能なポリエステルは、色鮮やかな柄を安価に楽しめる素材として普及しました。Fashion History Timeline+1
古着で探すときのポイント
サイズ感:ジャスト〜少しゆるめでタックインすると今っぽい
襟の大きさ:70sらしい長く尖った襟かどうか
タグ表記:POLYESTER 100%表記や70sブランド(KENNINGTON 等)Instagram
黄ばみ・脇の汗ジミ:白〜淡色ベースは要チェック

2. ベルボトム(フレアパンツ)
脚が自然に広がるフレアシルエット
ベルボトムは、ヒッピーファッションを象徴するボトムス。
- 太ももはタイト、膝下から裾に向かって大きく広がる
- デニム・コーデュロイ・カラーパンツなど素材はさまざま
- リーバイス646など、ブランド品も多く存在
元々は水兵の制服などにルーツを持ちますが、1960年代後半〜70年代に若者文化の象徴として大流行しました。ウィキペディア+1
古着コーデのコツ
- 上半身はシンプルな無地Tやスウェットでバランスを取る
- 足元はブーツ・キャンバススニーカーが合わせやすい
- 裾幅が広いモデルは「床ぎりぎり」の長さにすると雰囲気が出る

3. Tシャツ(タイダイ・メッセージT)
タイダイ&メッセージTで自己表現
ヒッピーファッションと聞いて真っ先に思い浮かぶのが、タイダイ柄のTシャツや、メッセージ性の強いプリントTです。ENDLESS SUMMER NZ+1
- 手染めのタイダイTシャツ
- バンドT・フェスT
- 反戦・平和・愛をテーマにしたメッセージT
Tシャツは、「安価」「カジュアル」「誰でも着られる」という特性から、最も身近な自己表現のキャンバスになりました。
タイダイTシャツについて詳しく知りたい方へ
古着衛門ブログでは、タイダイTシャツに特化した解説記事もあります。
タイダイTシャツの作り方とおしゃれコーデ術|自宅で簡単・古着との相性も抜群
自宅で簡単に作れるタイダイTシャツの作り方から、メンズ・レディース・キッズ別のコーデ術、洗濯方法、家族で楽しむ染め方までをまとめたガイド。
ヒッピーファッションに挑戦したい人は、自分でタイダイを作ってみるのもおすすめです。

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そのほかの代表的ヒッピーアイテム
3大アイテム以外にも、ヒッピーファッションを語るうえで外せないものがあります。
- カフタン・チュニック:エスニック柄のロングトップス
- マキシワンピース・グラニードレス:ボリュームのあるロング丈
- フリンジジャケット・ベスト:スエードやレザー製
- ヘッドバンド・バンダナ:前髪の上に巻くスタイル
- ビーズアクセ・羽根ピアス:自然や民族モチーフのアクセサリー
これらを1〜2点混ぜるだけでも、全身をヒッピーに振り切らなくても、程よい「70s感」を出すことができます。ヴィンテージダンサー+1
現代の古着コーデにヒッピーファッションを取り入れる方法
1. 「一点主役」が基本
全身をヒッピーで固めると、コスプレ感が出やすくなります。
現代のファッションに取り入れるなら、
- タイダイT × デニム × スニーカー
- ポリシャツ × 黒スラックス
- ベルボトム × 無地スウェット
のように、主役アイテムは1点に絞ると使いやすくなります。
2. カラーは「ビビッド×ニュートラル」でまとめる
- 上:カラフル(タイダイ・サイケ柄など)
- 下:黒/ネイビー/デニム/生成り など落ち着いた色
派手柄をニュートラルカラーで受け止めると、日常コーデとしても馴染みやすくなります。
3. ジェンダーレスに楽しむ
当時のヒッピーファッションは、男女ともにロングヘア、フレアパンツ、ゆったりした服を共有するジェンダーレスな傾向が強くありました。museumofyouthculture.com+1
現代でも、
- メンズが花柄シャツやマキシ丈に挑戦する
- レディースが太めのベルボトムやワークブーツを合わせる
など、「性別でアイテムを分けない」着方と相性が良いジャンルです。
古着屋でヒッピーファッションを探すときのチェックポイント
- タグ・年代感
- Made in USA・欧州製など、当時物の可能性が高いタグ
- 素材表記:POLYESTER 100%/COTTON 100% など
- コンディション
- ポリシャツ:テカリすぎ・テカリの抜け、黄ばみ
- デニム:裾の擦り切れ・パッチの状態
- Tシャツ:襟のヨレ・プリントのひび割れ
- サイズバランス
- 当時の表記は現代日本サイズより小さめなことが多いため、実寸を優先
- オーバーサイズで着る場合も、肩幅と着丈は確認しておくと失敗しにくい
- 着回しイメージ
- 手持ちの無地T・デニム・スニーカーと組み合わせをイメージしておくと、衝動買いを避けやすい
まとめ:ヒッピーファッションは「価値観」まで楽しめる古着ジャンル
- ヒッピーファッションは、1960〜70年代のカウンターカルチャー運動から生まれたスタイルであり、「愛・平和・自由」を体現したファッションでした。Encyclopedia Britannica+1
- タイダイ、ベルボトム、ポリシャツなどの派手なアイテムだけでなく、自然素材や民族柄、ピースマークなどのシンボルも重要な要素です。ウィキペディア+1
- 現代のコーデでは、「一点主役」「ビビッド×ニュートラル」「ジェンダーレス」を意識すると取り入れやすくなります。
- 古着屋で選ぶ際は、タグ・素材・コンディション・サイズ感をチェックしつつ、自分の価値観やメッセージに合う一枚を選ぶと、より楽しく長く付き合えるアイテムになります。
ヒッピーファッションは、単なる「古い服」ではなく、当時の若者たちの価値観や生き方が詰まったスタイルです。
自分なりの解釈で1アイテムから取り入れてみると、コーディネートの幅が大きく広がります。



