古着屋で「McGREGOR(マックレガー)」のタグを見かけたことはありませんか?
現在のマックレガーには、トラッドやアメリカンカジュアルを感じさせる上品なアイテムも多くあります。
一方、古着でマックレガーを見ると、短丈のブルゾンやスポーツウェアなど、もっと無骨で昔のアメリカらしい服に出会うことがあります。
その代表作が「ドリズラージャケット(DRIZZLER JACKET)」です。
さらにマックレガーには、映画『理由なき反抗』でジェームズ・ディーンが着用したことで知られる「アンチフリーズジャケット(ANTI-FREEZE JACKET)」という名作もあります。
この2つはよく混同されますが、実は別のモデルです。
今回は、マックレガーの歴史からドリズラーとアンチフリーズの違い、古着で見つけたときに確認したいポイントまで整理して紹介します。
McGREGOR(マックレガー)とは?
McGREGORは、1921年にアメリカで誕生したファッションブランドです。
創始者はイギリス出身のデビッド・D・ドニガー(David D. Doniger)。
公式のブランド史によると、ドニガーは1888年にアメリカへ渡り、その後アパレルビジネスに関わるようになりました。
1918年には、スコットランドからゴルフソックスやニッカポッカーズ、帽子などを輸入し、スポーツウェアをコーディネートして提案しています。
その販売促進には、イギリス伝統のマックレガー家に由来するチェック、王冠、紋章などの意匠が使われました。
そして1921年4月25日、「David D. Doniger & Co. Inc.」が設立され、McGREGORブランドが誕生します。
当初からスポーツと日常着を結びつけた服づくりを行い、その後のアメリカンカジュアルにつながる数々のアイテムを生み出していきました。
マックレガーの代表作「ドリズラージャケット」

マックレガーを代表するアイテムとして、まず知っておきたいのがドリズラージャケットです。
ドリズラージャケットは1945年に発表されました。
もともとは、ゴルファーが小雨の中でも着られるスポーツジャケットとして開発されたものです。
当初は「スコティッシュ・ドリズラー」という名称で販売されました。
「ドリズル(drizzle)」は、霧雨や小雨という意味。
マックレガーは小雨に対応する撥水生地を開発・採用し、それがドリズラーという名前の由来となりました。
ドリズラーはなぜ人気になった?
ドリズラーは、雨を防ぐためだけのレインウェアではありません。
スポーツをするときに動きやすく、普段着としても使える軽快なジャケットでした。
襟を立てて留められる仕様や、雨風の侵入を考えたポケットなど、機能を考えたディテールも特徴です。
1950年代にはアメリカで大ヒットし、マックレガーを象徴するアイテムとなりました。
その影響は大きく、アメリカでは同じような形のライトブルゾンまで「ドリズラー」と呼ばれるようになったと、マックレガー公式でも説明されています。
ドリズラージャケットの特徴
ドリズラーは時代によって素材や細かな仕様が変化していますが、基本となるデザインには共通する部分があります。
- 腰丈程度のすっきりしたブルゾン型
- フロントジップ
- 襟を立てて留められる仕様
- 雨風の侵入を考えたポケット
- スポーツ時にも動きやすい設計
現在ではごく普通に見える形かもしれません。
しかし、こうしたスポーツジャケットのスタイルが広がっていく初期から存在していたことを考えると、ドリズラーが後のアメリカンカジュアルへ与えた影響の大きさが分かります。
もうひとつの名作「アンチフリーズジャケット」
マックレガーには、ドリズラーと並んで覚えておきたい名作があります。
それがアンチフリーズジャケット(ANTI-FREEZE JACKET)です。
アンチフリーズは1949年に登場しました。
ドリズラーが小雨に対応するスポーツジャケットとして作られたのに対し、アンチフリーズは防寒性を高めたモデルです。
マックレガー公式によると、当時のアンチフリーズは表地にナイロン100%を使用し、裏地には保温性を高めるフリースが使われました。
ドリズラーの基本的なデザインを生かしながら、寒さへの対応を強化したジャケットというわけです。
ドリズラーとアンチフリーズの違い
| ドリズラー | アンチフリーズ | |
|---|---|---|
| 登場 | 1945年 | 1949年 |
| 主な目的 | ゴルフなどでの小雨対策 | 防寒 |
| 特徴 | 軽快なスポーツジャケット | 保温性を高めたジャケット |
| 代表的な背景 | McGREGORを象徴する定番 | ジェームズ・ディーン着用で有名 |
見た目が似ているため混同されることがありますが、誕生した時期も用途も異なるモデルです。
ジェームズ・ディーンが着たのはドリズラーではない

マックレガーの赤いジャケットと聞いて、ジェームズ・ディーンを思い浮かべる方もいるでしょう。
1955年公開の映画『理由なき反抗(Rebel Without a Cause)』で、ジェームズ・ディーンが赤いジャケットを着用しています。
白いTシャツ、デニム、赤いジャケットというスタイルは、映画史だけでなくファッション史にも強い印象を残しました。
ここで重要なのが、映画でジェームズ・ディーンが着用したのはドリズラージャケットではなく、マックレガーのアンチフリーズジャケットだということです。
「ジェームズ・ディーン=赤いドリズラー」と紹介されることもありますが、マックレガー公式のブランド史では、着用モデルをアンチフリーズと明記しています。
ドリズラーとアンチフリーズは形が近く、同じマックレガーの名作であるため、長い年月の中でイメージが重なって伝わってきたのでしょう。
映画『理由なき反抗』がマックレガーに残したもの
『理由なき反抗』でのジェームズ・ディーンのスタイルは非常にシンプルです。
- 赤いアンチフリーズジャケット
- 白いTシャツ
- デニム
それでも強烈な印象が残るのは、服そのものだけではなく、ジェームズ・ディーンの存在や映画のイメージまで一緒に記憶されているからでしょう。
古着の面白さは、こうした映画や音楽、スポーツなど、その服が生きてきた時代の文化まで一緒に楽しめるところにあります。
マックレガーはアメリカから世界へ広がった
マックレガーはドリズラーやアンチフリーズなどのヒットとともに、アメリカ国外へも広がっていきます。
公式のブランド史では、1950年に世界21か国への輸出を開始。
1959年にはニューヨーク5番街666番地にショールームをオープンし、1961年には日本での本格販売が始まりました。
そのため日本でも長い歴史があり、古着ではアメリカ製だけでなく、さまざまな時代・生産背景を持つマックレガーの商品に出会います。
古着のMcGREGORを見るときのポイント
古着のマックレガーを見つけたら、ブランド名だけで判断するのではなく、一着ずつ細かく見てみると面白くなります。
1.まずモデルを確認する
「マックレガーの短丈ブルゾン=すべてドリズラー」とは限りません。
アンチフリーズをはじめ、似た形のジャケットもあります。
タグや商品名が残っていれば確認し、分からない場合は素材や裏地、ポケット、背面などの仕様も合わせて見ましょう。
2.タグを見る
古着ではタグも大切な情報源です。
ブランドロゴ、表記、生産国、素材、品質表示などを確認します。
ただし、マックレガー公式では古いタグを年代別に網羅した判別表を公開しているわけではありません。
タグだけを見て「これは必ず1950年代」と断定するのではなく、ほかのディテールと合わせて判断した方が安全です。
3.ジッパーだけで年代を決めない
古着ではTALONやCONMARなど、ジッパーのメーカーや形状が年代を考える材料になることがあります。
しかし、ジッパーは交換されている可能性もあり、ひとつの部品だけで製造年代を確定することはできません。
タグ、生地、縫製、シルエットなど複数の要素を合わせて見ることが大切です。
4.素材と裏地を確認する
ドリズラーやアンチフリーズは、用途の違いによって素材や裏地にも違いがあります。
「チェックの裏地だから何年代」と単純に決めるのではなく、その一着のモデルや素材表示と合わせて確認しましょう。
5.サイズと状態を見る
古いジャケットほど、現在欲しいサイズが残っているとは限りません。
肩幅、身幅、着丈、袖丈など実寸を確認し、自分が着たいバランスかを見ます。
また、古いナイロン素材では劣化、生地では擦れや破れ、ジッパーでは開閉状態なども確認したいポイントです。
「年代が古い=価値が高い」とは限らない
古着のマックレガーでは、古い年代の商品が高く評価されることがあります。
しかし、製造年代だけで価格や価値が決まるわけではありません。
- モデル
- カラー
- サイズ
- 素材
- 生産国
- コンディション
- 現在の需要
こうした条件によって評価は変わります。
「古そうだから価値がある」と決めるのではなく、まず一着そのものを見ることが重要です。
現行のMcGREGORもドリズラーを受け継いでいる
ドリズラージャケットは昔だけの服ではありません。
現在のMcGREGORでも、素材やシルエットを変えながらドリズラーは作り続けられています。
デニム素材や現代的な機能素材を使ったモデルなど、その時代に合わせてアップデートされています。
1945年に生まれた基本デザインが、形を変えながら現在まで残っていること自体が、このジャケットの完成度を物語っています。
まとめ|McGREGORはドリズラーだけではない
McGREGORは、1921年にアメリカで誕生した100年以上の歴史を持つブランドです。
- 1921年にMcGREGORブランドが誕生
- 1945年にドリズラージャケットを発表
- 1949年にアンチフリーズジャケットを発表
- 1955年『理由なき反抗』でジェームズ・ディーンがアンチフリーズを着用
- ドリズラーとアンチフリーズは似ているが別モデル
特に覚えておきたいのは、ジェームズ・ディーンが映画で着用した赤いジャケットは、ドリズラーではなくアンチフリーズという点です。
この違いを知ってから古着屋でマックレガーを見ると、短丈のブルゾン一着でも見え方が変わってきます。
タグ、素材、裏地、ジッパー、シルエットなどを見ながら、「これはどんな時代に、どんな目的で作られた服なのだろう」と考える。
そうやって歴史まで一緒に楽しめるのが、古着のマックレガーの面白さではないでしょうか。
ライター:結うすけ
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