「グッドレギュラー」は、ここ数年で定着してきた古着用語です。
ただし、厳密な“公式定義”がある言葉ではありません。
実際に大手古着店も「明確な判断基準はなく、感性に近い」という立場を示しています。
一方で、現場で共有されている“共通点”はあります。
この記事では、用語の揺れを認めたうえで、
- 何を指す言葉なのか
- ヴィンテージ/ネクストヴィンテージと何が違うのか
- どう見分けて、どう買うと失敗が減るのか
を、実務的に整理します。
まず結論:グッドレギュラーは「将来化ける可能性があるレギュラー古着」
古着の世界では、ざっくりこう分けられがちです。
- ヴィンテージ:すでに希少性・歴史性・市場評価が確立している
- ネクストヴィンテージ(新しいヴィンテージ):評価が伸びている過渡期(年代や範囲は文脈で揺れる)
- グッドレギュラー:レギュラー(普通の古着)の中でも、“今っぽさ”や“差”があって、将来評価が上がり得る個体
重要なのは、グッドレギュラー=高騰確定ではない点です。
「良いレギュラー」という“見立て”の言葉で、時代によって中身が変わります。

ヴィンテージの定義がブレる理由
「ヴィンテージ=何年以前?」は国やメディアで幅があります。
例として海外メディアでは、“20年以上”をヴィンテージの目安として整理する記事もあります。
一方、日本の古着市場では「年代」だけでなく、カルチャー性・希少性・ブランド背景・個体差で評価が決まる比重が大きい。市場史の整理もされています。
だからこそ、グッドレギュラーは「年式で線を引く」より、評価が上がる条件を押さえる方が実用的です。
ネクストヴィンテージとグッドレギュラーの違い
混同されやすいので、運用上の違いだけ先に切ります。
ネクストヴィンテージ
- 80s〜00sなど、“かつてレギュラー扱いだった年代”の再評価を指す文脈で使われやすい
- 市場全体のトレンドとして語られやすい(「この年代が来てる」)
グッドレギュラー
- 年代よりも「個体の強さ」「今の空気感」「ディテール」「タグ」「球数」「ストーリー」で語られやすい
- “レギュラーの棚”から、当たり個体を掘るための言葉として機能する
結論:
ネクストヴィンテージ=年代の再評価(面)
グッドレギュラー=棚の中の当たり(点)
この理解が、いちばん事故が少ないです。

グッドレギュラーになりやすい「6つの条件」
ここから実務。判断基準が曖昧な言葉ほど、チェック項目が効きます。
1)“デザインが言語化できる”
ただの派手さではなく、
- 配色が当時っぽい
- ロゴ配置が象徴的
- 切り替えやギミックが強い
など、「強み」を説明できる個体。
2)ブランド背景 or 文脈がある
ブランドが強いだけでなく、
- その年代のカルチャー(音楽、スポーツ、ストリート)
- コラボや限定ライン
など“語れる要素”が付くと評価が乗りやすい。
3)流通量が“ちょうど少ない”
超レアは価格が先に上がり、初心者が入りづらい。
グッドレギュラーは「探せば出るが、良い個体は減っている」くらいが狙い目。
4)素材・縫製・作りが強い
将来残るのは、結局“物として強い”個体。
ヘビーウェイト、作り込み、ダメージが出にくい仕様。
5)サイズが良い(今のシルエットに合う)
同じ年代でも、
- 今の気分に合うボックスシルエット
- 身幅広め短丈
など“着れる形”が価値になる。
6)状態が説明できる(フェード/ヤレが武器になる)
ダメージは減点にも加点にもなる。
「良いフェード」「プリント割れ」「フェードの均一さ」など、状態が価値として成立する個体は強い。

具体例:ジャンル別 “グッドレギュラー候補”
※ここは「ブランド名の羅列」だけだと薄くなるので、“候補の型”で整理します。
スウェット/フーディ
- リバース系のように、過去に“レギュラー扱い→高騰”を経験したカテゴリは、次の波が出やすい
- プリントの強さ、サイズ、ボディの作りで差が出る
ワーク(ダック地/ペインター/オーバーオール)
- いま着ると形がハマる個体が多い
- “汚れ込みで成立する”ものは強い(ただし説明必須)
アウトドア(フリース/シェル)
- 機能素材・作りが残りやすい
- トレンドの影響を受けやすい(ゴープコア等の文脈)
ナイロン/トラックジャケット
- 90s〜00sの“当時っぽさ”が強いほど刺さる
- 配色とロゴ配置で当たりが決まる

「投資としてのグッドレギュラー」は注意が必要
グッドレギュラーは“将来化ける可能性”が語られやすい反面、
市場はトレンドの影響を強く受けます。
- 価値が上がることもある
- 上がらないことも普通にある
- 状態・サイズ・真贋・個体差で結果が変わる
この前提は外さない方がいいです。
(用語自体が“確定基準ではない”という点からも同じ。)
結論:投資判断の前に、まず「自分が着たい/使いたい」を軸にするのが堅い。
失敗しない買い方:古着屋目線の5ステップ
- ジャンルを決める(スウェット/ワーク/アウトドアなど)
- “強みを言語化できる個体”だけ触る
- タグ・年代の手掛かりを確認(ディテールで裏取り)
- サイズと状態で合否(着れるか/説明できるか)
- 価格は“比較”してから(同型・同ブランド・同年代で相場感)

まとめ
- グッドレギュラーは、定義が固定された用語ではない
- だからこそ、年代で決め打ちせず、**個体の条件(作り・文脈・サイズ・流通量)**で見るのが実用的
- ネクストヴィンテージは“年代の面”、グッドレギュラーは“棚の点”
- 「将来の価値」より先に、いま着て強いかで選ぶと失敗が減る
グッドレギュラーとは、
「すでに価値が確立されたヴィンテージ」でもなく、
「年代だけで評価されるネクストヴィンテージ」とも違う、
**“今はレギュラー扱いだが、将来評価が変わる可能性を持つ古着”**を指す言葉です。
明確な定義や年式の線引きがあるわけではありません。
だからこそ、
デザインの強さ、背景となるカルチャー、作りの良さ、サイズ感、流通量。
そうした個体ごとの条件をどう見るかが重要になります。
グッドレギュラーは、
「高くなるから買う」古着ではなく、
「今着ても強く、結果として残るかもしれない」古着。
流行や相場だけに振り回されず、
自分の感覚で“これは良い”と思える一着を選ぶこと。
それが、結果的に未来のヴィンテージに立ち会う、いちばん確かな方法です。
古着の面白さは、
価値が決まっていない“途中”にこそあります。
グッドレギュラーは、その楽しさをいちばん体感できる存在と言えるでしょう。


