古着屋やリサイクルショップ、中古品のネット販売を始めようとするとき、確認しておきたいのが「古物商許可」です。
「メルカリで古着を売るだけでも必要?」「申請費用はいくら?」「警察署には何を持っていけばいい?」など、初めて申請する方には分かりにくいことも多いと思います。
古物商許可は、古物営業法で定められた中古品の売買などを営業として行う場合に必要です。
ただし、中古品を売る人すべてに許可が必要なわけではありません。 自宅の不用品を売る場合と、中古品を仕入れて転売する営業では、取り扱いが異なります。
この記事では、2026年10月時点の警察庁・埼玉県警察・警視庁などの公式情報に基づき、古物商許可が必要なケース、費用、必要書類、申請の流れ、取得後の義務まで解説します。
古着販売や中古品ビジネスをこれから始める方は、まずご自身の営業形態に許可が必要なのかを確認するところから始めましょう。
※申請手続きは管轄する公安委員会・警察署の案内に従ってください。この記事は一般的な制度の解説であり、個別の許可要否や審査結果を保証するものではありません。
古物商許可とは?なぜ中古品販売に必要なのか
古物商許可とは、古物営業法に基づいて、都道府県公安委員会から受ける営業許可です。
古物営業法は、盗品などの売買を防止し、被害品の早期発見を図ることを目的としています。
中古品の売買では、商品が過去に誰の手に渡り、どこから仕入れられたのかが重要になることがあります。
そこで、一定の古物営業を行う事業者には許可を求め、取引相手の確認や取引記録などの義務を設けています。
法律上の「古物」とは?
古物営業法では、次のような物品が古物に該当します。
- 一度使用された物品
- 使用されていなくても、使用のために取引された物品
- これらに一定の手入れをした物品
例えば、誰かが購入したものの着用しなかった衣類も、法律上は古物に該当する場合があります。
そのため、「未使用品だから古物商許可は不要」とは限りません。
古物は法律上13品目に分類されており、衣類、時計・宝飾品、皮革・ゴム製品、書籍、道具類などが含まれます。
古着屋で取り扱う衣類は「衣類」、靴やバッグなどは「皮革・ゴム製品類」に該当する場合があります。
古物商許可が必要なケース・不要なケース
古物商許可の必要性を判断するうえで重要なのは、商品の種類だけでなく、どのように入手し、どのように販売するかです。
| 取引内容 | 古物商許可 |
|---|---|
| 中古の古着を仕入れて継続的に販売する | 必要 |
| 国内のリサイクルショップで中古品を仕入れて転売する | 必要 |
| 国内で仕入れた古物を海外に輸出して販売する | 必要 |
| 中古品を預かり、販売後に手数料を受け取る委託販売 | 必要 |
| 自分で着ていた服をフリマアプリで売る | 原則不要 |
| 自分が使うために購入した未使用品を売る | 原則不要 |
| 完全に無償で譲り受けた物を販売する | 原則不要 |
| 自分で海外から購入・輸入した品物を販売する | その取引形態では原則不要 |
※許可が不要とされる例も、実際の仕入れ方法や取引条件によって判断が変わる場合があります。特に古物営業以外の法令上の義務まで免除されるわけではありません。
メルカリで不用品を売るだけなら許可は必要?
自分で使っていた衣類や、使うつもりで購入したものを手放す場合、通常は古物商許可を取得する必要はありません。
一方、販売して利益を得るために古物を仕入れ、継続的に転売するのであれば、古物営業に該当する可能性があります。
「フリマアプリだから許可は不要」「販売点数が少なければ必ず不要」という判断はできません。
メルカリ公式ガイドでも、営利目的で中古品を取引している場合には、個別の取引実態によって古物営業に該当する可能性があると説明されています。
無償で受け取った衣類を販売する場合は?
完全に無償で譲り受けた古物を販売する場合は、古物商許可が不要とされるケースがあります。
ただし、引き渡した人に金銭や物品などの利益が生じる取引や、販売を委託される取引では判断が変わります。
また、無償で受け取った物であっても、販売する商品の安全性や表示、税務など別の義務は残ります。
寄付や無料回収を事業として行う場合も、実際の取引条件に応じて管轄警察署へ確認してください。
フリマアプリ・古着屋・卸業者・ネットショップからの仕入れや、個人からの無償譲渡など、取引方法ごとの許可要否は、関連記事:古物商許可が必要・不要なケース|フリマ・古着転売・無償譲渡・確定申告で詳しく比較しています。許可が必要か判断したい方は、申請手順に進む前にこちらもご確認ください。
古物商許可の取得にかかる費用と期間
古物商許可の新規申請手数料は、19,000円です。
これは公安委員会へ許可を申請する際の手数料です。
そのほか、必要書類の発行費用や、許可後に設置する標識の作成費用などがかかります。
| 項目 | 費用・期間の目安 |
|---|---|
| 新規許可申請手数料 | 19,000円 |
| 住民票・身分証明書など | 発行する自治体・必要枚数による |
| 法人登記事項証明書など | 取得方法・必要枚数による |
| 古物商標識 | 作成先による |
| 審査期間 | 約40日が目安 |
申請書類に不備がある場合や、審査状況によっては時間がかかる場合があります。
また、19,000円は許可を保証する費用ではなく、申請のための手数料です。
店舗の開店日や仕入れ開始日が決まっている場合は、余裕をもって準備しましょう。
参考:警視庁「古物商許可申請」
古物商許可の取り方|申請から許可証受け取りまで5ステップ
基本的な手順は次のとおりです。
- 管轄の警察署と必要書類を確認する
- 営業所・管理者・取扱品目を決める
- 申請書と添付書類を準備する
- 警察署へ提出し、審査を受ける
- 許可後に許可証を受け取り、営業準備を整える
ステップ1.主たる営業所を管轄する警察署を確認する
古物商許可の申請先は、主たる営業所の所在地を管轄する警察署です。
自宅を営業所とする場合や、店舗を構えずネット販売を行う場合も、予定している営業形態を警察署へ説明し、申請先や必要書類を確認しましょう。
埼玉県で申請する場合は、埼玉県警察が公式サイトで案内している申請窓口と様式を確認できます。
ステップ2.営業所・管理者・取扱品目を決める
申請前に、次の内容を整理します。
- 個人として申請するか、法人として申請するか
- 主たる営業所の所在地
- 営業所で取り扱う古物の品目
- 営業所の管理者
- 店頭販売・ネット販売などの営業方法
- インターネット上の取引に使用するURL
古物商は、営業所ごとに管理者を1人選任する必要があります。
個人事業主が自分自身を管理者とする場合でも、申請書類上の手続きが必要です。
ステップ3.必要書類を準備する
個人・法人によって必要書類が異なります。詳しい一覧は後ほど説明します。
申請書の様式は、各都道府県警察の公式サイトからダウンロードできる場合があります。
書き方に不安がある場合は、提出前に管轄警察署へ相談してください。

ステップ4.警察署に申請書類を提出する
申請書と添付書類を揃えたら、管轄警察署の担当窓口に提出します。
申請時には所定の手数料を納付します。
提出方法、受付時間、納付方法などは申請先で確認してください。
書類の受付後に審査が行われ、欠格事由や申請内容などが確認されます。

ステップ5.許可証を受け取り営業開始の準備をする
許可が下りたら、警察署の案内に従って古物商許可証を受け取ります。
許可後は、営業所への標識掲示、必要なネット上の許可情報表示、取引記録などの準備を整えて営業を始めましょう。
なお、申請書を提出しただけでは、許可が必要な古物営業を開始できません。
古物商許可の必要書類|個人と法人の違い
必要書類は申請者の区分や管理者、営業形態によって変わります。
個人で申請する場合
主な必要書類は以下のとおりです。
- 古物商許可申請書
- 最近5年間の略歴書
- 本籍など所定の事項が記載された住民票の写し
- 誓約書
- 市区町村長が発行する身分証明書
- 営業所の管理者に関する必要書類
- 該当する場合はURLの使用権限を示す資料
ここでいう「身分証明書」は、一般に運転免許証やマイナンバーカードを指すものではありません。
古物商許可の申請で求められる身分証明書は、市区町村長が発行する所定の証明書です。
本籍地のある市区町村で取得する必要があるため、住民票とは別に確認しましょう。
法人で申請する場合
法人は、会社そのものに関する書類と、役員や管理者に関する書類が必要です。
- 古物商許可申請書
- 法人の定款
- 法人の登記事項証明書
- 役員全員の略歴書
- 役員全員の住民票の写し
- 役員全員の誓約書
- 役員全員の身分証明書
- 営業所の管理者に関する必要書類
- 該当する場合はURLの使用権限を示す資料
法人の役員と営業所の管理者が同一人物である場合など、具体的な書類の取り扱いについては管轄警察署に確認してください。
自宅を営業所にする場合、使用承諾書は必須?
自宅を営業所として利用するからといって、すべての申請で使用承諾書が一律に必要とされるわけではありません。
物件の所有・賃貸の状況や、営業所としての使用条件などによって確認事項が生じる場合があります。
必要な補足資料については管轄警察署に確認してください。
また、賃貸住宅で事業を行う場合は、古物営業法の手続きとは別に、賃貸借契約や建物の使用条件を確認する必要があります。
古物商許可を取得できない欠格事由とは?
古物商許可は、申請書を提出すれば誰でも必ず取得できるものではありません。
古物営業法第4条では、許可を受けられない場合を定めています。
代表的な欠格事由には、次のようなものがあります。
- 破産手続開始決定を受け、復権を得ていない場合
- 一定の刑罰を受け、その執行終了などから所定の期間が経過していない場合
- 住居が定まっていない場合
- 古物営業許可を取り消されてから所定の期間が経過していない場合
- 暴力的不法行為に関係する一定の事由がある場合
- 法令で定められた心身の故障により業務を適正に実施できない場合
- その他、古物営業法で定める欠格事由に該当する場合
これは代表例であり、すべての欠格事由を列挙したものではありません。
成年被後見人・被保佐人は必ず不許可になる?
いいえ。以前の制度では、成年被後見人・被保佐人に関する一律の欠格規定がありましたが、2019年の法改正によって見直されています。
現在は、成年被後見人・被保佐人であることだけを理由に、一律に古物商許可を取得できないとする取り扱いではありません。
業務を適正に実施できるかなど、法令で定められた基準に基づいて判断されます。
なお、刑罰に関する要件なども法改正で表現や内容が変更されているため、古いブログ記事の一覧をそのまま参考にしないようにしましょう。
最新の基準は、埼玉県警察の許可申請案内などで確認してください。
メルカリ・ネットショップで中古品を販売する場合の注意点
ネットショップで中古品を販売する場合にも、営業形態によって古物商許可が必要です。
また、古物商許可を取得して終わりではなく、ネット上の表示や仕入れ時の本人確認にも注意が必要です。
ホームページのURLを申請する場合
自身のホームページなどを利用して古物の取引を行う場合、申請内容に応じてURLの記載や、URLの使用権限を示す資料が必要になります。
URLを使用する営業形態かどうかは、販売の仕組みによって異なります。
申請する際は、ネットショップのURLや利用するサービスを警察署へ説明し、必要な手続きを確認しましょう。
古物商許可とは別に、独自サイト上で競り売りを行う場合などには、追加の届出が必要となるケースもあります。
ネットショップに許可番号を表示する
古物商がインターネット上で古物取引を行う際には、許可情報の表示義務があります。
表示する主な情報は次の3つです。
- 氏名または法人名称
- 許可を受けた公安委員会の名称
- 古物商許可証番号
法人で許可を受けている場合は法人名称、個人で許可を受けている場合は許可を受けた本人の氏名を表示します。
屋号だけを表示しても、必要な氏名・名称の表示を満たすとは限りません。
2024年4月からウェブサイト表示義務が改正
2024年4月1日から、古物商などのウェブサイトにおける許可情報の表示義務が改正されました。
古物取引を行っていない自社サイトでも、一定の事業者には氏名・公安委員会名・許可番号などの表示が求められます。
一方、常時使用する従業員が5人以下の場合や、管理するウェブサイトがない場合には、この一般的なウェブサイト表示義務が免除される規定があります。
ただし、自身のネットショップや固定URLを持つオンラインストアなどで古物の取引を行う場合は、従業員数にかかわらず、従来のネット取引に関する表示義務を確認する必要があります。
参考:大阪府警察「ウェブサイト上における氏名等の掲載義務について」
ネットで中古品を仕入れる場合の本人確認
古物商が中古品を買い受ける際は、取引内容に応じて相手方の本人確認が必要です。
インターネット取引であっても、古物商としての義務がなくなるわけではありません。
特に、相手と直接会わずに商品を買い受ける場合は、法令で定められた非対面取引の本人確認方法を守る必要があります。
単に運転免許証のコピーを送ってもらうだけでは、必要な確認方法を満たさない場合があります。
古物商許可を取得した後に守る5つの義務
古物商許可は、取得後も継続して法令を守る必要があります。
1.営業所に古物商標識を掲示する
古物商は、営業所の公衆から見やすい場所に、法令で定められた標識を掲示する必要があります。
標識には、許可番号、公安委員会、氏名または名称などの所定事項を表示します。
サイズや表示事項は法令で定められているため、自由なデザインであれば何でもよいわけではありません。
古物商標識を作成する際は、警察の公式様式を確認してください。
2.取引相手の本人確認を行う
古物を買い受ける場合など、法令で対象となる取引では、取引相手の住所・氏名・職業・年齢などを確認する必要があります。
一定の取引には例外がありますが、少額の取引なら何でも確認不要というわけではありません。
特に宅配買取やオンライン仕入れでは、通常の対面確認とは異なる方法が必要になる場合があります。
3.必要な取引記録を残す
古物商には、法令で定める取引について帳簿などへ記録する義務があります。
記録対象となる情報には、取引年月日、品目、数量、商品の特徴、相手方の情報などがあります。
ただし、すべての古物の販売や買取について、例外なく同じ記録義務が課されるわけではありません。
品目や取引内容によって記録の要否が異なるため、取扱商品に合わせて確認してください。
また、古物営業法上の帳簿と、税務上必要な売上・仕入帳簿は、目的や記録要件が異なります。
4.不正品の疑いがある場合は適切に対応する
盗品などの疑いがある取引については、法令で定められた対応が必要です。
また、警察から盗品等に関する照会や通知を受ける場合もあります。
古物営業法は、盗品の流通防止と被害回復を目的とする制度であることを理解しておきましょう。
5.営業内容の変更があれば届出を確認する
許可取得後に、営業所の所在地、役員、管理者、氏名・名称などが変わった場合は、変更内容に応じて届出や許可証の書換申請が必要になることがあります。
届出の期限や手続きの種類は、変更内容によって異なります。
移転や法人変更などを予定している場合は、変更前に管轄警察署へ確認しておくと安心です。
古物商許可証の見本
古物商許可証は、許可を受けた個人・法人に対して交付されるものです。
営業所へ掲示する古物商標識とは異なります。

許可証を取得したら、記載されている氏名・名称、許可番号などを確認しましょう。
古物商許可のよくある質問
Q.古物商許可は個人でも取得できますか?
はい。個人・法人のどちらでも申請できます。ただし、申請者が欠格事由に該当しないことや、営業所・管理者などの要件を満たす必要があります。
Q.古物商許可の申請費用はいくらですか?
新規許可申請手数料は19,000円です。このほか、住民票、身分証明書、法人の登記事項証明書などの取得費用が必要になる場合があります。
Q.古物商許可は何日くらいで取得できますか?
標準的な審査期間は約40日が目安です。ただし、必要書類の不備や審査状況によって実際の期間は変わります。
Q.自宅を営業所にして申請できますか?
自宅を営業所として申請するケースはあります。ただし、営業所としての実態や使用条件などの確認が必要になる場合があります。申請先の警察署へ相談してください。
Q.メルカリで自分の不用品を売る場合にも必要ですか?
自分で使用していたものや、使用目的で購入した未使用品を売るだけなら、原則として古物商許可は不要です。利益を得る目的で中古品を仕入れて販売する営業では、許可が必要になる場合があります。
Q.古着屋を開業する場合は古物商許可が必要ですか?
国内で中古衣類を買い取り、営業として販売する場合は必要です。仕入れや販売の方法によっては異なるため、具体的な営業形態を管轄警察署に説明して確認してください。
Q.古物商許可を取得すれば全国で販売できますか?
2020年4月から、主たる営業所を基準とする許可制度へ変更されています。ほかの都道府県に営業所を設ける場合などには、必要な変更届出を確認してください。
Q.古物商許可には有効期限や更新がありますか?
一般的な免許のように、一定期間ごとに更新する制度ではありません。ただし、廃業や一定期間営業しない場合などには、許可の取消しや返納に関する規定があります。
Q.許可証があれば、ネット販売で許可番号の表示は不要ですか?
いいえ。インターネットを利用した古物取引では、営業形態に応じて許可を受けた公安委員会名、許可番号、氏名または名称の表示が必要です。
Q.無料で譲り受けた古着を売る場合はどうなりますか?
完全に無償で引き取った古物を販売する場合は、古物商許可が不要となるケースがあります。ただし、譲渡した人に何らかの利益が生じる場合や委託販売などは扱いが異なります。実際の取引条件に応じて確認してください。
まとめ|古物商許可は必要性の確認から始めよう
古物商許可は、中古品を仕入れて販売する事業などで必要となる許可です。
ただし、自分の不用品を売る場合など、許可が不要とされるケースもあります。
申請を始める前に、まず自分が予定する取引が古物営業法の対象になるかを確認しましょう。
許可が必要な場合は、次の流れで準備します。
- 取引内容を整理し、許可が必要か確認する
- 管轄警察署と申請方法を確認する
- 営業所・管理者・取扱品目を決める
- 個人・法人に応じた必要書類を揃える
- 19,000円の申請手数料を納付して申請する
- 許可後は標識掲示、本人確認、取引記録などの義務を守る
また、古物商許可は取得すれば何でも販売できる資格ではありません。
商品の種類によっては、ほかの法令への対応が必要になることもあります。
中古品を扱う事業では、許可取得をスタート地点として、仕入れ・販売・商品管理・取引記録まで適切に運営することが重要です。
古物商許可の公式情報・参考資料
- 埼玉県警察|古物営業に関する申請手続
- 埼玉県警察|古物営業の申請書・記入例
- 警視庁|古物商許可申請
- 警視庁|古物商許可申請をされる方へ
- 愛知県警察|許可が必要なケース・不要なケース
- 大阪府警察|ウェブサイト上の表示義務
- e-Gov法令検索|古物営業法
最終確認:2026年10月。法改正や運用変更によって必要な手続きが変わる場合があります。実際の申請時には必ず管轄警察署の最新案内をご確認ください。



