パタゴニアのダウン製品は、冬のフィールドで確かな保温力を発揮するアウターとして高く評価されています。軽さと暖かさを両立しつつ、環境配慮型の素材を採用している点も大きな特徴です。
信頼性のあるブランドだけに、「洗濯やメンテナンスは難しいのでは?」と思われがちですが、実際はそれほど複雑ではありません。
正しい手順を押さえておけば、家庭でも十分にケアできます。
長く愛用するための基本を、ここから順に整理していきます。

ダウンのお手入れ・洗濯が重要な理由
「ダウン製品は自宅で洗濯できない」と思っている人は少なくありません。
しかし、これはパタゴニア自身も否定している誤解です。適切な方法で洗濯すれば、ダウン製品は自宅でもしっかりケアできます。Patagonia+1
とくにパタゴニアのダウンは、正しい手順で洗うことで、つぶれてしまったボリュームやふくらみ(ロフト)が戻りやすく、保温性も回復しやすいのが特徴です。
長く着用していると、ダウンの内側と表面には
- 汗
- 皮脂汚れ
- ホコリや排気ガス
- ファンデーションなどの化粧品汚れ
といった汚れが蓄積していきます。
これらがたまると、羽毛同士がくっつきやすくなり、ダウンのふくらみが失われ、結果として暖かさが落ちてしまう原因になります。
ですが、ここでポイントです。
- 適切な洗剤
- 正しい水温・洗い方
- 十分なすすぎと正しい乾燥
この3つを守って洗濯すれば、汚れを落としつつ、ダウン特有のふんわり感をかなりの程度まで取り戻すことができます。Patagonia+1
「ダウンを洗うと傷む」というよりも、
汚れたまま放置するほうが性能低下につながると考えたほうが正確です。
パタゴニアの公式情報でも、自宅での洗濯・乾燥手順が紹介されており、正しいケアによって長く着続けることが推奨されています。Patagonia+1
このガイドでは、パタゴニアのダウンを例に、
- 自宅でできる基本的な洗濯手順
- 洗う前のチェックポイント
- 洗濯後の乾燥と撥水メンテナンス
を、順を追って解説していきます。
第1章:ダウン製品の洗濯前の準備
洗濯前に必ずチェックしたいポイント
パタゴニアのダウンジャケットやダウンベストを洗う前に、まずは次のポイントを順番に確認していきます。ここを丁寧に行うことで、生地ダメージやトラブルを防ぎながら、安全に洗濯できます。
- ① ケアラベル(洗濯表示)の確認
裏側のタグに記載されている洗濯表示を必ず確認します。
水温・洗い方・乾燥方法など、モデルごとの注意点が書かれているので、基本はこの表示に従うのが大前提です。Patagonia Bend - ② ダメージ有無のチェック
生地に「破れ」「擦り切れ」「ステッチのほつれ」がないか、全体を軽くなでるように確認します。
小さな穴でも、洗濯中の水圧や回転で一気に広がることがあります。もし気になる箇所があれば、洗う前に補修しておくと安心です。 - ③ ファスナー・ボタンの状態を整える
メインファスナーは「閉じる」、ポケットのファスナーも「閉じる」、マジックテープやスナップボタンも「留める」が基本です。
こうすることで、洗濯中のひっかかりや生地へのダメージを減らすことができます。 - ④ ポケットの中身を空にする
ティッシュ、レシート、コイン、鍵などが入ったままだと、生地を傷つけたり、洗濯機内部のトラブルにつながることがあります。
すべてのポケットを一度裏返すつもりで、中身をしっかり確認しておきましょう。 - ⑤ 目立つ汚れの前処理
襟まわりや袖口、前立て部分は、皮脂汚れがたまりやすい場所です。
中性洗剤を薄めたものを少量つけて、指や柔らかいブラシでやさしくなじませておくと、本洗いで汚れが落ちやすくなります。Evo
準備しておきたい洗濯アイテム
ダウンの性能を落とさずに洗うためには、使う道具選びも重要です。
パタゴニアのダウンを洗う際に、用意しておきたい代表的なアイテムは次の通りです。
- 洗濯ネット(洗濯バッグ)
ジャケットを畳んで入れられる程度の大きめサイズのネットがあると便利です。
ドラム内での生地の摩擦を抑え、表地の傷みを軽減できます。 - ダウン用 or マイルドな洗剤
一般的な強いアルカリ性洗剤ではなく、- ダウン専用洗剤
- おしゃれ着用の中性洗剤
など、やさしいタイプの洗剤を選びます。
パタゴニアも、ダウンには穏やかな洗剤の使用を推奨しています。Patagonia Bend
- 柔軟剤は「使わない」
柔軟剤は生地表面や羽毛に余計な皮膜を作り、撥水性やふくらみを損なうおそれがあります。
ダウン製品の洗濯では、基本的に柔軟剤は使用しないようにします。Patagonia Bend - ソフトなブラシ(任意)
部分汚れが気になるときに、歯ブラシのような柔らかいブラシで軽くこすり、前処理に使います。
強くこすりすぎると生地を傷めるので、「なでる」程度の力加減が目安です。
これらの事前準備を整えておくことで、
パタゴニアのダウン製品を自宅の洗濯機で安全に、かつ効率よく洗うための土台ができます。

第2章:正しい洗濯方法
手洗いと洗濯機洗い、どちらを選ぶべきか?
「Patagoniaのダウン製品(=ダウンジャケット・ベストなど)を洗う時、手洗いと洗濯機洗いのどちらでも対応可能です。ただし、それぞれに適した条件があります。
・手洗い:デリケートなモデル/修理済モデル/少量洗い時に向きます。
・洗濯機洗い:汎用的に効率よく洗いたい場合、大きめのアイテムを丸ごと洗う場合に適しています。ただし、設定と注意点が鍵です。
手洗いの手順
- ぬるま湯(例:30 ℃前後)をバスタブや大きめの洗面器に用意する。
- マイルドな洗剤(後述)を少量入れ、よく溶かす。
- ダウンを完全に水に浸し、衣服を優しく押し洗い。強いこすり・ねじりは避ける。
- 洗剤残りがないよう、数回にわたって十分にすすぐ。
- 水を切る際は「優しく押す」手法。絞る・ねじるは厳禁。
洗濯機を使用する際の注意点
- 洗濯ネット/洗濯バッグに入れて洗うことで、内側羽毛・表地の損傷を抑える。
- 洗濯機の「手洗いモード/デリケートモード」を選択。水温は「冷水〜ぬるま湯(30 ℃前後)」が基本です。Patagonia Bend+2Patagonia+2
- 他衣類と一緒に洗わず、単体洗いを推奨。ほかの重衣類やジッパー付き衣服と同時に洗うと、羽毛や生地に引っかかり・破損のリスクがあります。Evo+1
- 上洗濯槽(agitator付きトップロード型)は摩擦高・引っかかりリスク増のため、可能なら前面ロード洗濯機(フロントローダー)を推奨。iFixit
洗剤の選び方と使用量
適切な洗剤の種類
- マイルドな液体・中性洗剤を選択。羽毛が持つ自然な油分を必要以上に除去しないもの。Paisley & Sparrow+1
- ダウン専用洗剤(例:Down Wash等)を使うと、羽毛・撥水機能の維持に有利。Patagonia+1
- 柔軟剤・漂白剤・強アルカリ洗剤・香料強めの洗剤は避ける。羽毛がつぶれてしまったり、撥水効果が低下したりする可能性があります。Patagonia Bend+1
使用量の目安
洗剤メーカーが指示する量を守り、場合によっては少なめに設定するのが安心です。
「洗剤を多くすれば汚れが落ちる」という考えは誤りです。過剰な洗剤残りは、後のすすぎ不良・羽毛のまとまり化・保温力低下に繋がります。
第3章:ダウン製品の乾燥方法
洗濯後の乾燥は、パタゴニアを含むダウン製品の「ふくらみ(ロフト)」と「保温力」を取り戻すために最も重要な工程です。誤った乾燥方法は羽毛のダメージにつながるため、ここでは 乾燥機を使う場合 と 自然乾燥する場合 の両方を、わかりやすく整理します。
乾燥機を使う場合のポイント(最も効率的な方法)
乾燥機は、ダウンのふくらみをしっかり復活させたいときに最適な方法です。ただし、設定を誤ると羽毛が傷んだり、偏ったりしやすくなります。
① 低温設定を必ず選ぶ
高温は羽毛を傷める原因になります。
かならず 「低温・弱」または「エアフラッフ(送風)」 を選択しましょう。
② テニスボール or 乾燥ボールを入れる
乾燥機の中に 清潔なテニスボールを2~3個 入れることで、
羽毛のかたまりをほぐしながら、ふんわりと均等に広げることができます。
- ダウンのロフト復活にもっとも効果的
- 潰れた羽毛の偏りを防げる
- 乾燥時間の短縮にもなる
③ 15〜20分ごとに一度チェックする
途中で取り出し、手で軽く払って羽毛を均してあげると、より均等な仕上がりになります。
④ 過乾燥を防ぐ
乾きすぎは羽毛の劣化につながります。
完全に乾いていれば、すぐ取り出して自然冷却するのが理想です。

乾燥機使用時の注意点
- 高温モードは禁止(生地・羽毛ともにダメージ大)
- 製品ラベルの表示を必ず確認
→ パタゴニアの多くのダウンは乾燥機使用OKですが、モデル・年代によってはNGのものもあります。 - 濡れたまま放置しない
→ 羽毛が固まり、カビの原因にもなります。
自然乾燥を行う場合のコツ(電気が使えないときなど)
乾燥機が使えない場合は、自然乾燥でも可能です。ただし、時間はかかります。
① 風通しの良い場所で平干しする
ハンガーに吊るすと、羽毛が下に偏りやすく乾きづらくなります。
平干し(置き干し) がもっとも均等に乾燥しやすい方法です。
② 途中で数回、手でほぐす
乾燥が進むごとに、
・表面を軽くたたく
・中の羽毛をつまんでほぐす
これを何度か行うと、ダウンのロフトが戻りやすくなります。
③ 完全に乾くまで時間をかける
羽毛は内部に水分を含みやすく、外側が乾いて見えても中が湿っていることがあります。
最低でも丸1日は乾燥時間を確保するのが安全 です。
ダウンの膨らみ(ロフト)をしっかり復活させるコツ
- 乾燥中にときどき「揉んでほぐす」
- ダウンが固まっている部分は指でつまんで優しくほぐす
- 完全乾燥後に一度、軽く“エアフラッフ”で回すとさらにふんわり
これらの工程を丁寧に行うことで、洗濯前よりもふっくらした状態を取り戻せることがあります。
第4章:撥水性のメンテナンス
パタゴニアのダウン製品には「DWR加工(耐久撥水)」が施されており、雨や雪を弾くことで内部の羽毛を守る役割があります。しかし、着用を重ねたり、誤った洗濯を繰り返したりすることで、この撥水性能は少しずつ低下していきます。
ここでは、撥水性が落ちる理由・見分け方・回復方法を丁寧にまとめます。
撥水性が重要な理由
撥水加工は、ダウンの性能を最大限に発揮させるうえで欠かせません。
- 羽毛の保護
表面が濡れにくいことで、内部の羽毛が水分を含むのを防ぎます。羽毛が湿ると、ロフト(ふくらみ)が失われ、保温力が急激に低下します。 - 保温性の維持
ダウンは “空気を含んで膨らむ” ことで暖かくなる仕組みです。撥水性が落ちて水分を吸ってしまうと、重さが増して空気層がつぶれ、性能が落ちます。
撥水性が低下しているサイン
次のような状態が見られたら、撥水力が弱まっている証拠です。
- 水滴が玉にならず、生地に吸い込まれていく
新品のときは「水玉がコロコロ転がる」状態ですが、撥水低下時は吸い込むように濡れていきます。 - 表面がすぐにしっとり濡れる・乾きにくい
撥水加工が劣化すると、表地が水分を保持したまま乾きにくくなります。 - 生地の質感が変わる
摩耗によってコーティングが薄くなると、手触りが変わったり、くすんだように見えることがあります。
撥水性を回復させるための洗濯・乾燥方法
DWR加工は「洗濯」と「熱処理(乾燥)」である程度回復します。
これはパタゴニア公式でも推奨されている方法です。
1. 洗剤選び
- 中性洗剤・ダウン専用洗剤を使用
- 柔軟剤は使用しない(油膜をつくり、撥水低下の原因)
2. 適切な洗濯
前章と同じく、やさしく洗い、洗剤が残らないようにしっかりすすぐことが大切です。
3. 乾燥工程で「熱」を与える
- 低温の乾燥機にかけると、表面のDWRが再活性化しやすい
- テニスボールを一緒に入れると、ダウンのロフトが戻りやすい
- 自然乾燥を選ぶ場合も、最終的に短時間だけ乾燥機の「低温運転」で仕上げると効果的
撥水剤の正しい使用方法
撥水加工が大きく低下した場合は、市販の撥水スプレーやウォッシュインタイプの撥水剤を使用することで性能を補うことができます。
1. 撥水剤の選び方
- ダウン用・アウトドアウェア用の撥水剤を選ぶ
- フッ素フリー製品など、環境配慮型のものも選択肢として適しています
2. 均等に塗布する
- 製品全体にむらなくスプレー
- 補強したい箇所(肩・胸・袖口)は丁寧に重ね塗り
3. しっかり乾燥させる
- 撥水剤は「乾燥」工程で性能が安定します
- 仕上げに低温の乾燥機を短時間回すと、より高い効果が得られます
正しい撥水メンテナンスが寿命を伸ばす
ダウン製品は、撥水性を維持することで本来の保温力を最大限に発揮します。
パタゴニアのダウンを長く愛用したい場合は、定期的な洗濯・乾燥・撥水ケアの3ステップをセットで行うのが理想です。
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第5章:長期保管のコツ
パタゴニアのダウン製品を長期間保管する際は、保管前の準備と保管場所の環境がとても重要です。適切な方法でしまっておけば、翌シーズンに取り出したときも、ふっくらとした状態で快適に着用できます。
ここでは、保管場所の選び方・保管前の準備・保管期間中に確認すべきポイントを順に整理します。
適切な保管場所の選び方
ダウンが長期間“健康”に過ごせる場所には、いくつか条件があります。
- 乾燥した場所を選ぶ
湿気は、ダウンの天敵です。羽毛が湿るとカビやにおいの原因になるため、クローゼットでも湿度が低い位置を選びましょう。 - 通気性が良いこと
密閉空間で長期間放置すると、湿気がこもりがちです。通気のある棚やワードローブの上段などが安心です。 - 直射日光を避ける
日光は生地の退色や劣化を招きます。暗めで風通しの良い場所が最も適しています。
保管時の準備と注意点
保管前の準備
- 必ずきれいに洗う
汚れや皮脂が残ったまま保管すると、酸化・におい・生地劣化の原因になります。
洗濯後は、羽毛内部まで「完全乾燥」させることが必須です。 - 圧縮しない(ふくらみ=命)
圧縮すると羽毛のロフトが潰れ、回復に時間がかかります。
収納する際は、軽く畳む・ゆるく収納する 程度にとどめましょう。 - 防虫剤の併用
ウール製品ほどではありませんが、羽毛製品も虫が付く可能性があります。
ただし、防虫剤は 直接触れさせない ように配置します。
注意点
- プラスチック袋はNG
通気性が悪く、湿気が閉じ込められるため、カビが発生しやすくなります。
不織布製のガーメントバッグが理想的です。 - 中にものを詰め込まない
下敷きになったり上から重ねられたりすると、羽毛がつぶれます。
保管期間中のチェックリスト
しまいっぱなしにせず、ときどき様子を見ることで劣化を未然に防げます。
- 湿気とカビの確認
生地表面に湿り気がないか、カビ臭がないかをチェックします。 - 羽毛の状態をチェック
たまにダウンを広げて軽く空気を含ませると、ロフトの低下を防げます。 - においの発生を確認
湿度が高いと特有のにおいが出やすいため、早期に気付けるよう定期的なチェックが大切です。
正しい保管が次のシーズンの快適さにつながる
ダウンは、正しい環境で保管することで寿命が大きく伸びます。
乾燥・通気・圧迫しない の3点を守れば、翌シーズンもふっくらした状態で着用できます。
パタゴニアのダウンはどこで買える?
パタゴニアのアイテムを手に入れるには、パタゴニアの公式ウェブサイトで、新品を購入することが可能です。
また、古着店やYahooショッピング・楽天市場・セカンドストリートでは、様々な中古アイテムを見つけることができます。
ここでは、様々なスタイルやデザインの中から選ぶことができ、リーズナブルな価格で提供されています。
オンラインショッピングで中古品購入の場合は、商品の状態や評価をよく確認し、信頼できる販売者から購入することが重要です。
ダウンの洗濯まとめ
パタゴニアのダウン製品を長く快適に使い続けるためには、洗濯・乾燥・撥水メンテナンス・保管という一連のケアが欠かせません。
このガイドでは、ダウン本来の暖かさやふくらみ(ロフト)を維持するための基本ステップを整理してきました。
パタゴニアのダウンを長持ちさせるために大切なこと
ダウンは、適切なメンテナンスによって性能が大きく変わる素材です。
- 洗濯前のチェック(汚れ・破損・タグの確認)
- 中性洗剤・ダウン専用洗剤を使った正しい洗濯
- 低温乾燥と羽毛のほぐしによるロフト回復
- 撥水性の維持・再活性化
- 湿気を避けた長期保管
これらが揃うことで、ダウンはシーズンを越えても快適に着用できる“相棒”になります。
正しいお手入れが寿命を変える
パタゴニアのダウン製品は、適切に扱えば驚くほど長く使用できます。
特に、洗濯後の乾燥・撥水ケア・保管方法は、ダウンの性能を左右する重要なポイントです。
シーズンごとに一度メンテナンスを行うだけでも、
・暖かさ
・軽さ
・ふくらみ
・撥水性
これらをしっかり維持することができます。
さらに知識を深めたい方へ
より詳しいお手入れ方法や最新のケアガイドが必要な場合は、次の公式リソースが参考になります。
- パタゴニア公式サイト: パタゴニア公式
- 専門的洗濯・保管方法に関するリソース: お手入れ方法や保管のヒントについて、詳細な情報を提供しています。
おわりに
高品質なダウン製品は、正しい知識と少しの手間をかけることで、性能を最大限に引き出せます。
今回のガイドが、あなたのパタゴニア製品をより長く、より快適に楽しむための一助となれば幸いです。
次の冬も、ふっくらあたたかなダウンで気持ちよく過ごせますように。




